コーヒーの基本知識コーヒーの歴史

 コーヒーは“いつ、だれが、どうやって”発見したのでしょう。これはコーヒーという飲み物が生まれる以前の「コーヒーの実」の話。いろいろな説がありますが、代表的な2つをご紹介します。

コーヒーの発見伝説1・アラビカ説

イスラムの僧・オマールの発見

 13世紀のイエメンでのこと。伝説は、イスラムの僧・オマールが、領主によって町を追われたことに始まります。山に追放されたオマールは、一羽の鳥が赤い木の実をついばんでいるのを目にしました。食物もなく飢えていた彼は、迷わずその赤い実を口にします。すると不思議なことに飢えと疲労が消え、気分が爽快になったそうです。

 一方、オマールを追い出した町では、病気が猛威をふるっていました。以前オマールの祈祷によって助けられたことを思い出した人々は、すがるように山に入り、助けを求めます。町の惨状を深く悲しんだオマールは、祈りを捧げるとともに、不思議な力を与えてくれた赤い実の煮汁を皆に与えました。そして人々の命と町を救ったのです。この町とは、のちにコーヒー豆の積み出し港となり、豆の名前としても有名な「モカ」の町。コーヒーの発祥地ともいわれています。オマールは、この地名をとって「モカの守護聖人」と呼ばれるようになりました。

コーヒーの発見伝説2・エチオピア説

ヤギ飼いカルディのコーヒー発見

 アラビカ半島とアフリカ大陸が出合うあたりでの物語です。ある日のこと、ヤギ飼いの少年・カルディは、放し飼いにしていたヤギたちが、夜になっても元気に跳び回っているのに気付きました。

 「なぜだろう?」と観察していたところ、ヤギが赤い木の実を食べているではありませんか。さっそく赤い実を口にするカルディ。すると驚いたことに全身から活力がわいてきたのです。彼は、修道士のもとにかけつけ、この奇跡を告げました。「修道士さま、これは奇跡の実です!ヤギと、このぼくに奇跡が起きました!」話を聞いて修道士は考えます。

 「その実があれば、夜の長い祈りを襲う睡魔にも打ち勝つことができるに違いない。」そうして赤い実は、修道士たちの間で、睡魔に打ち勝つ“秘薬”として広まったそうです。

 「赤い木の実」とは何か、もうお話しするまでもありませんね。その後も長い間イスラム寺院では、僧たちの修行に秘薬として使われたといわれています。

 実際にはコーヒーは、以上の2つの発見伝説よりももっと古い時代に、文献に登場しています。文献には「コーヒー」という名称ではなく、「ブン(バン)」または「バンカム」という名称で記述されていました。

 コーヒーに関する最初の文献は、古代ヨーロッパのペルシャで名医と言われたラーゼスが、コーヒーを薬として取り上げ、「エチオピアやイエメンに自生するブン(またはバンと呼ばれた)と、その煮汁バンカムは刺激的でさっぱりした味を持ち、胃に非常によい」と記述しています。最初に発見されてから、幾世紀もの間コーヒーは食べるものであり、飲むものではありませんでした。コーヒーが飲み物になったのは、14世紀にアラビア半島にあるイエメンからで、15世紀あたりからアラブ世界に広まったといわれています。コーヒーは煎り豆の飲料になってから、「カーファ」と呼ばれるようになったと言われています。